住宅ローン減税 VS 減価償却の徹底分析!!持ち家の事業所利用比率のベストは何%なのか??
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本日は自営業者の方の住宅ローン減税と減価償却について書いていきます。
個人事業主をやっていて、持ち家の事業利用比率(何%を事業として利用することにするか)について悩んでいる方にとっては、参考になるかと思います。
今日の内容
- なぜ事業利用比率が重要か
- ここから本題
- 所得が330万円を超え 695万円以下の方(=所得税率 20%の方)
- 所得が195万円を超え 330万円以下の方(=所得税率 10%の方)
- 所得が900万円を超え 1800万円以下の方(=所得税率 33%の方)
なぜ事業利用比率が重要か
そもそも個人事業主において、なぜ持ち家の事業利用比率が重要か、という話をします。
まず、個人事業主で一番よくあるのが、「家賃を経費で入れられるか」という問題です。
これは、お家の床面積のうち、事業で使っている分だけ家賃を入れられる。というのが正解になります。
(例)8万円の賃貸で30%を使って事業を行う場合 80,000×30%=24,000円が経費
では「持ち家の場合は家賃0だから経費も0なのか」
答えはNOです。
①持ち家の経年劣化(=減価償却費)
②ローン返済における金利部分
についても、経費とすることができます。
簡便にした例を出します。
4000万円のお家が耐用年数40年ならば、毎年100万円が経年劣化(減価償却)され、そのうち事業利用比率が30%なら100万×30%=30万円が経費で計上できmaます。さらに、ローン支払いのうち金利部分が80万円だった、という場合は80万円×30%=24万円が経費で計上できます。
厄介なのが住宅ローン減税
これから開業して自宅を事務所にしようと考えている人は「それなら事業利用比率多くしたほうが有利じゃん!」と考えると思います。
ですが、いまは「住宅ローン減税」というものがあります。
【参考URL】http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/
要は住宅ローン残高に応じて、減税するというもので、おおむね住宅ローン残高×1%です。
例を挙げます。
年末のローン残高が2000万円だった場合
2000万円×1%=20万円(減税額)
ここで事業利用比率が30%であるなら、上記20万円のうち30%の6万円しか減税を受けられません。
ここまでをまとめると次のことがわかると思います。
「事業利用比率を大きくすれば経費が増えて、税金が減る。しかしそうすると住宅ローン減税の額が少なくなり、税金が増える」
「事業利用比率を小さくすれば経費が減って、税金が増える。しかしそうすると住宅ローン減税の額が大きくなり、税金が減る」
本題
ここまで来ると事業用割合がいくらにすればいいのか?ということを考えると思います。
「住宅金融支援機構調査データ」を使いまして、平均的な数値を基に検証したいと思います。
持ち家の取得価格 3169万円
うち借入額 2627万円
うち頭金(自己資金) 542万円
金利 3%
毎月返済額 9.1万円
返済方法 元利均等返済
全部平均値をとってきました。ですので、自分はあきらかに金利が高いとか、キャッシュで半分払ったとか、そういうのがなければ、この後も皆さんにおおよそ参考になるかと思います。
また、住宅ローンは全額減税ですが、減価償却や金利部分の経費算入は30万経費で入れても結局減税額は30万×税率になるので、税率を決める所得の高さで数字が変わってきます。
ですので、ここからは、所得の段階ごとに分けて分析したいと思います。
所得が330万円を超え 695万円以下の方(=所得税率 20%の方)
一般的なご家庭のお父さんは、所得税率が20%だと思います。その場合で計算しますと、以下のようになります。
【見方】
Aが、事業で住宅を使うことで経費にできる、ローン返済額の金利部分の額です。
Bが、事業で住宅を使うことで経費にできる、減価償却費の額です。(鉄筋や木造で耐用年数は違うものの計算結果に影響はないので鉄筋47年で計算)
そしてCが、AとBによって実現した節税額になります、計算方法は(A+B)×税率になります。ここでは所得が330万円を超え 695万円以下の方(=所得税率 20%)で計算しています
さらにDが、住宅ローン減税による、減税額になります。
住宅ローン減税の対象となれる10年間で一覧にしています。
結果は事業利用比率が10%が最もお得に
結果を見てみると、税率20%の場合、10年間の節税額を比較すると、事業利用比率は10%が最もお得になりました。
10年間の減税総額を以下抜き出します
事業利用比率10%→2,334,295円
事業利用比率20%→2,176,851円
事業利用比率30%→2,227,051円
事業利用比率40%→2,277,251円
事業利用比率50%→1,289,227円
ただ、少し気になると思うのが、10%が思ったより高いことです。
しかし、これには理由があります。というのも、租税特別措置法関係通達41-29 により、居住の用に供される部分がおおむね90パーセント以上に相当する場合は、全部がその者の居住の用に供する部分としていい、つまり、100%居住で使っているとして住宅ローン減税の計算をしてよいと書かれているためです。
ですので、事業利用比率が10%であれば、減価償却費等は10%経費に入れることができ、かつ100%の住宅ローン減税を受けることができます。
だから10%のときに大きく減税額が増えたんですね。
50%以上にはしないほうが良い
また、さっきの結果から分かるように、50%になったとたん大きく減税額は減りました、
これは住宅ローン減税の要件の一つに「床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること」という決まりがあるからです。
ですので、事業利用比率を50%以上にした場合は、住宅ローン減税額が一気に0となってしまい、大きく減税額が下がります。
また、そもそも住宅を50%以上も事業所として使うことは「それってホントに住宅か??」と疑われるところでもあるので、現実的ではありませんからね。
と、いうことで、一般的なデータを用いると、所得が330万円を超え 695万円以下の方の場合は、事業利用比率は10%が最も減税額が多くお得というとが言えるかと思います。
所得が195万円を超え 330万円以下の方(=所得税率 10%の方)
では次は、開業初期で所得が少ない方の場合を挙げます。このような計算結果となりました。
結果は圧倒的大差で事業利用比率10%がお得に
結果を見てみると、税率10%の場合、10年間の節税額を比較すると、事業利用比率10%が他の場合に比べ30万円近くも最もお得になりました。
10年間の減税総額を以下抜き出します
事業利用比率10%→2,205,373円
事業利用比率20%→1,919,005円
事業利用比率30%→1,840,283円
事業利用比率40%→1,761,561円
事業利用比率50%→644,613円
というのも、先ほど説明したように、事業利用比率が増えることで増加する減価償却費などは、「増加経費額×税率」で減税額が決まります。
ですので、税率の低い状態ですと、事業利用比率を増加させるメリットは少なく、その分を税率関係なく減税してくれる住宅ローン減税に回したほうがお得だからですね。
所得が900万円を超え 1800万円以下の方(=所得税率 33%の方)
では、次は所得が少し高い方向けの場合です、この場合少し雰囲気が変わってきます。まずは計算結果です。
所得の高い方は事業利用比率が高いほどお得に
ご覧のとおり、先ほどと違い、事業利用比率が増えるごとに、減税額が増加しています。
10年間の減税総額を以下抜き出します
事業利用比率10%→2,501,895円
事業利用比率20%→2,512,050円
事業利用比率30%→2,729,849円
事業利用比率40%→2,947,649円
事業利用比率50%→2,127,224円
結果として、事業利用比率が40%が最も減税額が高かったですね。
ただ、あくまでこれは計算上はそうなるだけであって、40%を事務所にしろ!とかって話ではありません。
所得が高いと税務署からのチェックも厳しいと一般的には言われていますし、本当に40%も事務所なの?と言われるとかなり疑われることはあるでしょう。
(実際お家を40%も事務所にしてしまうのは窮屈で辛いと思います)
なので、例えば持ち家の購入されてから「大きな個室を事務所にしてしまおうかなー、でも住宅ローン減税減るしな~」とかって悩んでいるときは、この記事を思い出して、
「あ!所得が高ければ事業利用比率高くても減税メリットあるかも!」という感じで使っていただければと思います。
まとめ
何度もいいますが、これは節税しろ!という記事ではありません。
これから開業したり、自営業で家を買おうという人のための参考データになります。
日々税法が変わり減税%が変わることもありますし、頭金や返済ペースが違えば結果が変わることも当然あります。
とはいえ、これらのデータから共通している点としてまとめると
- 事業利用比率は50%以上にすると減税額が大きく減る。
- 事業利用比率10%だと、住宅ローン減税を全額受けられる(租特法41-29)
- 所得が低い人は、事業利用比率が低いほうが住宅ローン減税で得しやすい。
- 所得が高い(=税率が高い)人ほど、事業利用比率が増えても減税額が増える。
こんな感じになります。
事業利用比率ごと、所得ごとの税額を細かく出してるサイトがなかったので、まとめてみました。
事業主の皆様の参考になれば幸いです。
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